【読書感想】追う恋と追われる恋はどちらが幸せなのか「勝手に震えてろ」綿矢りさ著

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「女性は追うより、追われる方が幸せ」

恋愛でよく聞かれるこの言葉。

実際のところ、どちらが幸せと断言できないけれど、追う恋と追われる恋の両方を同じ時期に経験したとすればこんな感じなのかと、シミュレーションできるのがこの本。

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追う恋の相手はイチ

主人公が追う恋をしている相手はイチ。

周りからはよくいじられていて、いつも誰かが周りにいる人気者。

そんなイチに対して主人公はあえて、話しかけることも目線を向けることもしなかった。

そうすれば、他の人たちと差別化が図れて、イチの記憶に自分の印象を残そうと思ったかららしい。

たまに二人で話す機会があれば「他の人たちとは違うのよ」というような振る舞いをする。

なんだか、そんな発想や行動ができるのが恋愛に慣れていない中学生らしい。

はた目から見れば、そんなまどろっこしい駆け引きなんかしないで、もっと積極的にいけばいいのにと思ってしまう。

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追われる恋の相手はニ

主人公が追われる側の恋の相手はニ。

会社の同僚で、告白されたものの、主人公はずっと返事を曖昧にし続ける。

付き合うなら初恋の相手と決めているけれど、そのイチと付き合えるか可能性は低い。

そうであればせっかくニが好意を持ってくれているのであれば、付き合ってもいいかもとは思う。ただニの様々な言動がどうにも癪に障る。それでもキープし続ける。

多分主人公はニの惚れた優しさに甘えているんだろうな。

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追う恋と追われる恋の両方を失ったら

大人になってから再会したイチを見て、昔の美化された記憶も相まってさらに想いを募らせていく主人公。

イチと思い出話をしていくにつれて、当時イチに対して話しかけたり目線を向けない作戦は成功したと確信していくように。

ところが、イチの中ではただのクラスメイトで、名前も覚えていないうちの一人だったと気づかされる。

ここの部分を想像するだけでも、相当ショックだったと思う。あまりにも想像できすぎて、読み返したくなくなるぐらい。

勝手にイチの特別だと思っていた唯一の心の拠り所が、あっけなく終わってしまうなんて。

昔のあの作戦があだとなったなんて、何年も後になって効果を発揮するなんて耐えられない。また中学生に戻りたいと、絶対考えてしまう。

さらに追われる恋の相手のニから、告白されていてずっとその返事を保留している状態。イチとの恋は終わりを告げたことで、意を決して告白をOK。

ところがニは、すでに主人公が知られたくなかったことや隠したかったことをすでに知っていた。聞いた相手は主人公の同期から。

主人公はあまりにもショックですぐに別れを告げる。付き合った時間は一瞬だけ。

確かに、自分が知られたくないことを知られていたと知ったらすごく恥ずかしい。しかもその知られたくないことを、かわいいとまで言う。もう、気持ちがぐちゃぐちゃになりすぎて、頭真っ白になるだろうな。

同じことをされても、感じ方は違う

イチとニの話を交互に読むスタイルの本となっていて、どちらの恋を取るのかハラハラする内容。

イチはもはや神格化されている状態だから、イチが何をしたって「かっこいい」「かわいいばかりで捉えられる。

その点ニの場合は、何をしても「生理的に無理」「無神経」といったように、大体の行いが主人公の気に障る。

多分イチとニが同じことしても「、イチは問題なくて、ニは嫌悪感を抱くんだろうな。

人間って好きな人とそうじゃない人では、感じ方も違うってことが、この本でよくわかる。

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